藁谷雅喜先生の連載コラム 中学受験のズバリ!急所

現代教育学院・代表 藁谷雅喜先生の連載コラム メールマガジン《首都圏中学受験ニュース》の連載から

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  ┃中┃┃学┃┃受|┃験┃┃の┃┃ズ┃┃バ┃┃リ┃┃!┃┃急┃┃所┃
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 │第15回│  ■ 子どもを信じて冷静に見守ることがファインプレーを生む
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 (2010年1月)           ◎ 現代教育学院・代表 藁谷 雅喜

  ※ 1月になっても1日1日を大切にして勉強に取り組もう
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 1月になると、10日からは埼玉、20日からは千葉で入試が始まり、時間が
あっという間に過ぎてしまいます。そのなかでなんとなく流されて、地に足
がつかず、漠然と過ごしてしまうことになりがちですが、この1月こそ1日1
日を大切にして合格必勝作戦を立てていってほしいと思います。

 そうすれば、1月からでもまだ得点力を上げられます。埼玉や千葉に住ん
でいて、埼玉や千葉の学校が本命というのであれば、ピークを1月に持って
いかなければなりませんが、そうでなければピークは2月1日に持ってくるべ
きで、それには1月の過ごし方が大切になってきます。1月の過ごし方次第で
逆転劇は起こります。

 1月のメニューの立て方としては、志望校合格のために足りないこと、こ
れから必要なことを紙に書き出して、それに優先順位をつけて、一つ一つこ
なしていき、やり終えたら線を引いて消していくという方法をおすすめしま
す。ただ、あまり欲張らないこと。これまでも何度もお話していますが、入
試では満点を取る必要はありません。合格最低点を取れば合格できるのです
から、合格最低答案を書けるようにすればいい、最低限のことだけを確実に
やればいいという気持ちで取り組みましょう。

  ※ 最後まで努力を続けた子たちだけがファインプレーを可能にする
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 このように、1月の勉強を冷静に一つ一つ伸ばしていった子、2月の本番の
当日まで一途に努力を続けた子たちが、最後の最後にファインプレーを生み
ます。私の塾でもそうしたファインプレーをいくつも見てきました。

 たとえば昨年、1月の試し受験の学校に落ち、2月1日には私が“へそ”と
思っていた本命校、2日にはその子の偏差値からすると19上の憧れ校にとも
に落ち、3日にも1日に受けた本命校に再び落ちながら、4日に2日に受けた偏
差値19上の憧れ校に再挑戦し、見事に合格した子がいました。まさに奇跡的
なファインプレーです。

 でも、私はこの結果を決してまぐれで起きたとは思っていません。その子
が1月の試し受験を落ちた時も、私はもともと内心五分五分と思っていまし
たから、「こんなこともあるよ」とだけ言って、落ちたことをあまり深追い
せず、「でも、やることは変わらないよ。2月1日の合格を目指してがんばろ
う」と言いました。

 そして、本番前日の1月31日にその子の算数をマンツーマンで見てあげた
ら、字の書き方もいいし、スピードもあるし、しっかりやれていました。6
年生になって大手塾から私の塾に移ってきた子で、オロオロしていて、じっ
くり考えることができない子だったのですが、そのときは間違えた問題もこ
れは違うと×をつけると、すぐにどこを間違えたかに気づいて、やり直して
正解しました。その様子を見て、こんなに成長し力をつけたのかと感動し、
きっとやってくれると思いました。だから、最後のファインプレーは、私か
らすれば起こるべくして起きたことだったのです。

 こんな子もいました。2月1日早稲田、2日学習院、3日早稲田(2)、4日立教
新座(2)、5日本郷(3)という受験をした子で、本人の持ち点(偏差値)から
いえば安全校なしの、全滅しかありえないというと受験パターンで、実際に
全滅でした。ただ、かろうじて4日の立教新座(2)の補欠の27番目に引っ掛か
り、1週間後に繰り上がり合格の通知が届きました。最後の繰り上がりでし
た。無謀といわれれば無謀な受け方に違いありませんが、どうしても早稲田
ということで、この子もやはり最後の最後まであきらめることなく精一杯や
りました。

 だからこそ、早稲田には届かなかったものの、最後の最後に立教新座の繰
り上がりを呼び込むことができたのだと思います。しかも、入試ではいちば
んビリで合格したわけですが、入学後の最初の試験では数学が100点満点で
学年トップ、全教科を合わせた成績でも学年で5番だったそうです。入試直
前の頑張りで学力をぐーんと伸ばした子というのは、入学後もさらに学力を
伸ばしていくケースが多いのです。だからこそ最後まであきらめずに、冷静
に受験勉強に取り組んでほしいと思います。

  ※ ファインプレーとは反対のケースもある
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 もちろんうまくいくケースばかりではありません。特に、今でもなぜあそ
こで反転したかという教訓とすべき失敗例がありました。その子は大手塾の
模試で年間偏差値72ぐらいという、私が今まで教えてきたなかでも5本の指
に入るくらいできる子でした。お父さんが高校の数学の先生で、算数はお父
さんが教えていたようですが、国語の記述がちょっと心配ということで、12
月から1月にかけて私がマンツーマンで開成対策の記述の指導をしました。

 それだけできる子でしたから、改めて教えることはなくて、私が教えたの
は、「文章がうまいかどうかなんか気にするな。きみが思いついたことを精
一杯書いてくれば大丈夫。ただ、白紙だけはダメだぞ」といった、もっぱら
メンタルなことでした。そして、国語は大丈夫と私は太鼓判を押しました。

 ところが、その子が開成に落ちて、城北に行くことになったという連絡を
お母さんからいただいてびっくりしました。いったいどういうことなんです
かと尋ねると、2月1日の開成の入試で算数が2問しかできず、2問以外は全部
白紙だったそうです。これではもちろん絶対に受かりません。あれだけでき
る子が2問以外白紙だったということは、算数の指導にもどこか問題があっ
たのではないかという気がしてならないのですが、それ以上に問題だったの
は開成の不合格に親が動揺して、その後の受験校を急遽変更してしまったこ
とでした。

 3日は筑波大駒場を受ける予定でしたが、開成の試験が終わって出てきた
ときの本人の顔が真っ青だったのを見て親も動転し、泣きじゃくる本人を前
の晩に説得して、3日は海城を受けさせたそうです。でも、海城にも受かり
ませんでした。なぜかといえば、海城の過去問対策を十分にしていなかった
からです。万一のことも織り込んで、3日に海城の2次をうけることを想定
した対策を立てなかったのです。

 親としては、子どもの様子を見て安全策をとったつもりでしょうが、これ
がむしろ裏目に出ました。結局、偏差値が高い低いだけで難易を判断してい
るからでしょう。私は開成に受かっていなくても、予定どおり筑波大駒場を
受けていれば、合格していたのではないかと思っています。開成と筑波大駒
場では入試のタイプが違うのですから、開成に落ちても筑波大駒場に受かる
ということは十分にありうるのです。開成に落ちたから、筑波大駒場をやめ
るというふうに恐れる必要はなかったのです。

  ※ 途中でどんな状況になっても最初の方針を絶対に変えない
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 これはファインプレーの逆です。ファインプレーは、合格を信じて最後ま
でやり抜く心があって初めて可能になりますが、親も最後までやり抜くわが
子を信じて最後まで冷静に見守る気持ちがないと、ファインプレーは生まれ
ません。途中の結果がどうであっても、親は子どもを信じて、最初に決めた
方針を変えてはいけないのです。先の結果は親の采配ミスがもたらしたと
いっていいでしょう。

 そうはいっても、親というのはどうしても子どもの真っ青な顔を見てしま
うと動揺して、ぶれてしまうものです。そうならないようにするには、最初
から最悪のパターンも想定しておき、その場合でも絶対にぶれずに方針を変
えないという覚悟をしておく必要があります。それには冷静に見守り、入試
に突入したら親の体温で変えることなく作戦を遂行するということが大事で
す。

 野球でもサッカーでも、監督がベンチで頭に血が上ってミスをした選手を
にらみつけたり、もうダメだといって背中を向けているようでは、最後に奇
跡のファインプレーは生まれません。やっぱり最後まで選手を信じて、しか
も冷静に采配をして見守ることで、初めてファインプレーが可能になります。
監督がそういう態度を示してこそ、選手も萎縮することなく、思い切って力
を発揮することができます。

 入試も同じです。親が冷静さを欠いて子どもの横でガミガミ言ったり、あ
るいは投げやりになって「こんな状態では次の学校も無理」と嘆いているよ
うでは、子どもがよい結果を出せるはずがありません。親が子どもを信じて
冷静に見守ることで、子どもはたとえ苦戦が続く状況でものびのびとした気
持ちで入試に臨むことができ、力を出すことができます。それが最後のファ
インプレーにつながっていくのです。

 中学入試は、非常に我慢を強いられる苦しい戦いであった“日露戦争”の
ようなものだと思っています。はっきり勝ったとは言えないけれども、不利
と言われながらぎりぎりのところでかろうじて日本が勝利をもぎ取ったのは、
絶対に負けてはならないという強い気持ちがあった
からです。昨年末には、NHKテレビでも日露戦争をク
ライマックスとするドラマ「坂の上の雲」の一部が     /⌒ヽ彡
放送されましたが、受験生の皆さんも自分の「坂の      <)∂ ゝ
上の雲」を目指して、最後までがんばってください。    ⌒ヽ‐/⌒フ
そして、笑顔の春が迎えられることをお祈りしてお     ⌒(  ミ彡
ります。                         _」」         
              
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(2010年1月10日配信)

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